日本人がやりがちな「寿命を削る」2つの悪習慣

日本人がやりがちな「寿命を削る」2つの悪習慣とは?

パーソナルトレーナーの鈴木孝佳氏による『疲れない体を脳からつくる ボディハック』より一部抜粋・再構成してお届けします。

コロナ禍を受けて、リモートワークが推進されている現在。普通に通勤していた頃よりも心身の疲労を感じる人が増えています。
その原因は脳と体の「刺激の偏り」にあるかもしれません。

ヒトは本来、自然の中で暮らす生き物で、日中は動いて夜は休むという生活を送ってきました。夜の間はしっかりと脳と体を休めることで、疲れやゴミを取り除いてリセットする。朝日がのぼり、あたりが明るくなるのと同時に起きて元気に活動する。刻々と変化する自然の中で生き抜くために、ヒトは脳と体のあらゆる機能を最大限に働かせていたのです。



ずっと体を動かさないとどんな悪影響が出るのか

さて、最近の自分の生活を振り返ってみたとき、この「ヒトらしい生活」を送れていると言えるでしょうか? 体を動かさず単調な生活を繰り返していると、実は脳は使わない機能を捨ててしまいます。

体を動かす脳がサビつけば、体もサビつきます。「脳への刺激があるかないか」というインプットの違いは、体のアウトプットにもすぐさま変化をもたらすのです。

例として、目を通じて脳に刺激(インプット)を送り、体を柔らかくする体験テストをしてみましょう。

①直立姿勢から足を閉じて前屈し、地面にどこまで指が近づくか確認する
②元の姿勢に戻り、20秒間“寄り目”で鼻先を見つめる
③再度、前屈をして確認する



寄り目だけで体が柔らかくなるテスト、いかがでしたか? 変わらなかった方もいらっしゃるかもしれませんが、これを試していただいた方には、テスト前は半信半疑でも、深く前屈できるようになり、「魔法!?」とよく驚かれます。

前屈が苦手な方の多くは「体がかたいから」「筋肉が短いから」と考えています。しかし、このテストでわかるように、問題は筋肉の状態ではなく、目の使い方。スマホなどで偏った目の使い方をしていると、視覚情報とつながっている脳の機能も狭まってしまうのです。

そのため、目の運動を行い、脳への刺激(インプット)を増やすと、体のアウトプットである姿勢や柔軟性、筋力は簡単に変わります。テストで前屈がしやすくなった方は「体の動きやすさは筋肉の問題ではなく、脳への刺激の問題」だと体感できたのではないでしょうか?

脳への刺激が不足すると体はどんどん機能を失い、不調をきたすようになります。運動不足は世界的にも問題視されています。WHO(世界保健機関)は、2018年に世界中の14億人以上の成人(18歳以上)が運動不足で、2型糖尿病や心血管疾患、がん、認知症などにかかるリスクが高いことを発表しました。[※注1]

これらが“生活習慣病”と呼ばれるように、無意識に過ごしている日々の習慣はダイレクトに健康へ影響しています。暴飲暴食や喫煙などの生活習慣が病気の原因になるのは、誰もが知っていることです。

実際に毎年の健康診断の結果を見て、お酒を控えて塩分を気にする方も多いはずです。しかし、すこし古いデータですが、日本における2007年の生活習慣病での死亡者数(図)を見てみると、過度な塩分やアルコールの摂取、糖尿病を引き起こす高血糖よりも「運動不足」のほうが死者数が多く、おおよそ5万人もの方が亡くなっています。

(出典:『疲れない体を脳からつくる ボディハック』より)

運動不足も、喫煙や飲酒と同じように健康を脅かす問題の1つなのです。

「座りすぎ」が日本人の生命を削る

また近年では、“座りすぎ”と死亡リスク増加との関連が研究されています。
54カ国の死亡者数の3.8%にあたる43万人弱が、毎日、長時間座って過ごす生活習慣によって死亡しているという研究発表もあります。

実は日本人は「世界一座っている」という調査結果もあるほど、1日の大半を座って過ごしている人が多い国です。

明治安田厚生事業団体力医学研究所の調査によれば、1日9時間以上座っている成人は、7時間未満と比べて糖尿病になる可能性が2.5倍も高くなります。日本の糖尿病にかかる医療費は世界第5位ですが、もしかすると“座りすぎ”と関連しているのかもしれません。

“運動不足”や“座りすぎ”といった身近で何気ない毎日の習慣が不調を招き、場合によっては命に関わるということがおわかりいただけたかと思います。自粛生活やリモートワーク中、家で座ってばかりの方は、ぜひちょっとした時間だけでも立ち上がるようにしましょう。



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