タンクレス風のTOTO GG、手洗いが使いやすいGG-800
今回は、TOTOのウォシュレット一体型便器「GG」と「GG-800」をレビューしてみます。TOTOトイレ商品ラインナップの中では、タンクレストイレのネオレストや、組み合わせ便器のピュアレストQRよりも地味な存在ですが、2014年5月のモデルチェンジで、「プレミスト」という新機能が搭載されてから、少し存在感が出てきたようにも思います。
商品名:GG、GG-800、GG手洗器付(ワンデーリモデル)
種類:ウォシュレット一体型便器(タンク式トイレ)
メーカー:TOTO
希望小売価格(税別):230,000円~
発売日:2014年5月
デザインや特徴が異なる3種類のラインナップ
「GG」、「GG-800」、「GG手洗器付(ワンデーリモデル)」の3種類のラインナップがありますが、それぞれデザインや特徴が異なります。
タンクレス”風”のデザイン「GG」
タンクレス”風”のデザイン「GG」
TOTO GGは、一見タンクレストイレのようなすっきりとしたデザインです。見た目はタンクレス”風”なのですが、小型のタンクが付いていて、後ろ側は少し盛り上がっています。
タンク式トイレで、ここまで小さなタンクを実現するのは結構すごいことです。最新のタンク式トイレと比べると、そのすごさが分かります。
GGには手洗いは付いていません。
トイレ室内に手洗い器があるか、トイレと洗面所が繋がっている(または近い)場合は選択肢としてよいかと思います。トイレ室内に手洗い器がなく、トイレと洗面所が離れている場合は、衛生面や手を洗う手間を考えると、どうかなー?と個人的には思います(GGだけでなく、タンクレストイレも同様です)。
手洗いボウルの使い勝手が特徴の「GG-800」

タンクレス風デザインのGGと異なり、GG-800には手洗いが付いています。
カタログにも書いてありますが、手洗いボウルの高さが800mm(80cm)くらいなので、小学1年生くらいでも楽な姿勢で手を洗うことができますね。また、手洗いボウルが深くて広いのもGG-800の特徴です。
ちなみに、商品名に「800」と数字が入っていますが、多分、この手洗いボウルの高さのことでしょうか??
手洗い器もかんたんに設置できる「GG手洗器付(ワンデーリモデル)」

「タンクレストイレのようなすっきりとしたデザインで、だけど停電とかも気になるのでタンク式がよくて、今は手洗い器がないけど、用を足した後すぐに手洗いもしたい!」という欲張りな方には、GG手洗器付(ワンデーリモデル)が良いかもしれません。
通常、トイレ室内に手洗器をつけるためには、手洗器用の給水管、排水管の二つの配管が必要となります。給水管がないと手洗器の蛇口から水が出ませんし、排水管がないと手を洗った水が流せません。
すでに手洗器が設置されているトイレであれば、新しい手洗器に交換することができますが、手洗器がない場合で、新しく手洗器を設置する場合には、大掛かりな給排水工事が必要となってしまいます。費用も工期もかかります。
GG手洗器付(ワンデーリモデル)だと、便器の給排水を分岐して手洗器に接続するので、新たに給排水工事をしなくても手洗器を設置することができます。ワンデーリモデルという名称からも分かりますが、大半は1日で工事が終わるようです。職人さんの腕によるとは思いますが。
ただこのGG手洗器付は、微妙な立ち位置にあります。というのも、タンクレストイレ「ネオレスト」にも手洗器付のワンデーリモデルがあるからです。GG手洗器付も価格設定は高めなので、それであればもう少しがんばってタンクレストイレを設置したい!という方が多いのかもしれません。
GG、GG-800、GG手洗器付ともに、3つのグレードから選ぶ
GG、GG-800、GG手洗器付ともに、3つのグレードが設定されています。予算と機能を比べながら、好みのグレードを見つけましょう。
グレード比較表
下の表は、各グレードの主な機能です。詳しくはメーカーカタログで確認してください。
グレード3 | グレード2 | グレード1 | |
本体価格(税別) | 290,000円〜 (GG3) 295,000円〜 (GG3-800) |
250,000円〜 (GG2) 255,000円〜 (GG2-800) |
230,000円〜 (GG1) 235,000円〜 (GG1-800) |
便器防汚技術 | セフィオンテクト | ||
温水方式 | 貯湯式 | ||
洗浄水量 | 大4.8L/小3.6L/eco小3.4L | ||
オートeco小 | ● | − | − |
プレミスト | ● | ● | ● |
お掃除リフト | ● | ● | ● |
オート便器洗浄 | ● | ● | ● |
温風乾燥 | ● | ● | − |
便座・便ふた ソフト閉止 |
− | ● | ● |
リモコン便座・ 便ふた開閉 |
● | − | − |
オート開閉 | ● | − | − |
GG、GG-800には、プレミストという技術が搭載されています。このプレミストは、便座に座ると水道水のミストを便器ボウル表面にふきつけて水のクッションをつくり、汚れにくくする技術です。
ただ、技術的にはすごいのかもしれませんが、個人的には、用を足す前に、トイレットペーパーを便器ボウルに置いておけば、特にプレミストは必要がない気もします。
ちなみに、TOTOトイレの最上位機種「ネオレスト(タンクレストイレ)」、TOTOウォシュレットの最上位機種「アプリコット」には、きれい除菌水という除菌効果のある水で、便器ボウルやノズルを自動洗浄・除菌してくれる機能(便器きれい、ノズルきれい)が搭載されています。
きれい除菌水については、『トイレ・便器を除菌!TOTOのきれい除菌水を徹底解説』に詳しくまとめていますので、宜しければご覧ください。
お掃除リフト(手動)
便器とウォシュレットのすきまを掃除するための機能です。サイドレバーを引き出して回すと、ウォシュレット(機能部)が持ち上がります。
GG、GG-800だけでなく、ネオレストにも搭載されている便利な機能なのですが、TOTOのお掃除リフト機能は、便器とウォシュレット(機能部)の隙間が狭いので、奥まで手を入れて掃除をすることは難しいです。手の大きさにもよるので、ショールームで試してみるとよいかと思います。
お掃除リフト機能については、LIXIL(INAX)のトイレがおすすめです。持ち上がる高さが違いますので、TOTOと比べると隙間に手を入れやすいです。また、タンクレストイレの『サティスG』、『サティスS』、一体型トイレの『アステオ』では、リモコン操作で電動リフトアップが可能です。
オート便器洗浄
その名の通り、ウォシュレットに座って用を足した後、立ち上がると自動で洗浄してくれる機能です。リモコンの大洗浄・小洗浄ボタンで流すこともできます。
グレードの選び方
温風乾燥は必要か?
ウォシュレットでおしりを洗った後に、「ブオ〜」と温かい風でおしりを乾かしてくれる機能です。温風乾燥が必要な場合は、グレード2(GG2、GG2-800)、グレード3(GG3、GG3-800)から選ぶことになります。
私は乾かす時間(と電気代)がもったいないので、ペーパーで拭いて終わりにしますが、温風乾燥がないとダメ!という人もいそうですね。ネットの口コミを見ると、「トイレットペーパーで拭いた後に、温風乾燥で仕上げるのが正しい使い方。」と主張される人もいるようですが、ここにお金を払うかどうかがポイントかと思います。
便座・便ふたの自動開閉が必要か?
トイレに入ると、便座・便ふたが自動で開きます。また、リモコンで開閉操作もできます。便座・便ふた自動開閉が必要な場合、グレード3(GG3、GG3-800)となります。
便座・便ふたの開け閉めまで機械任せというのは、日本人はなんて贅沢(怠惰?)になったのだろうとも思いますが、実際にホテルやレストランで自動開閉タイプのトイレを使ってみると、やっぱり便利ですね。
オートeco小って、どうなのか??
グレード3(GG3、GG3-800)には、オートeco小という機能もあります。通常の小洗浄(3.6L)よりも0.2L少ない水で流せる「eco小ボタン」がリモコンに付いています。
このeco小は、掃除の時や、男子が小用をした時など、流すものが少ない(トイレットペーパーなどを流さない)場合に、少しでも使う水を減らせるようにとのことで設定されています。TOTO独自の機能です。
ただ、1日何度も掃除する訳でもありませんし、節約できる水もわずか0.2L(200ml)です。キッチンや洗面所、シャワーの水を出しっぱなしにしないように注意した方が、節水・エコにつながると思います。
他の機種と比べてみる
GG-800のライバル機「LIXIL(INAX)アステオ」
シャワートイレ一体型 LIXIL(INAX)アステオです。
GG-800と比べてデザインがかなり個性的なので、見た目の好き嫌いが分かれる機種だと思います。2011年に発売された古めの機種なので、洗浄水量が大6Lと、最新トイレと比べると少し残念です。一方で、お掃除リフトアップが電動で、温風乾燥も標準搭載、ビデ専用のレディスノズル、ノズル先端が汚れたら交換可能など、機能面で比べるとアステオもかなり充実しています。
TOTO GG-800 | LIXIL アステオ | |
本体価格(税別) | 235,000円〜(GG1-800) | 231,000円〜(A5手洗い無) |
便器防汚技術 | セフィオンテクト | ハイパーキラミック プロガード |
温水方式 | 貯湯式 | 貯湯式 |
洗浄水量 | ○(大4.8L/小3.6L) | △(大6L/小5L) |
デザイン | 親しみ、柔らかさ | シャープ、クール |
便器洗浄機能 | プレミスト | − |
お掃除リフト | △(手動) | ○(電動) ※リフトが高く上がる為、 掃除がしやすい |
オート便器洗浄 | ○ | ○ |
温風乾燥 | △(グレード2以上) | ○(グレード共通) |
ノズル | − | レディスノズル(ビデ専用) ノズル先端交換が可能 |
※リフトが高く上がる為、
掃除がしやすい
オート便器洗浄 ○ ○
温風乾燥 △(グレード2以上) ○(グレード共通)
ノズル − レディスノズル(ビデ専用)
ノズル先端交換が可能
GGのライバル機「パナソニック アラウーノV」
パナソニックのタンクレストイレ「アラウーノV」です。
GGと比べると、タンク部分の盛り上がりがないので、よりすっきりとしたデザインとなっています。下の表では、アラウーノV専用トワレS3という最上位グレードで比較していますが、GGと比べるとだいぶ安いです。温風乾燥は付いていませんが、それ以外の機能はGGと遜色ないかと思います。
アラウーノVは価格が安いですが、れっきとしたタンクレストイレです。そのため、小型タンクが内蔵されているGGよりもすっきりとして見えます。
TOTO GG | パナソニック アラウーノV | |
本体価格(税別) | 230,000円〜(GG1) | 174,000円〜(S3手洗い無) |
便器防汚技術 | セフィオンテクト | 有機ガラス系新素材 |
温水方式 | 貯湯式 | 貯湯式 |
洗浄水量 | ○(大4.8L/小3.6L) | ○(大4.6L/小3L) |
便器洗浄機能 | プレミスト | − |
お掃除リフト | △(手動) | − ※便座カンタン着脱機能 |
オート便器洗浄 | ○ | ○ |
温風乾燥 | △(グレード2以上) | − |
便座・便ふた 自動開閉 |
△(グレード3のみ) | ○(S3) ※便座は自動閉のみ。 |
※便座は自動閉のみ。
TOTOトイレの最高峰「ネオレスト」
TOTOトイレの最上位機種「ネオレストAH」です。
10年、20年に一度のトイレリフォーム、うんと奮発してみるのもありかもしれません。デザインが上質で、見ただけで高そうな雰囲気が出ています。水道水を吹きかけるプレミストではなく、TOTO独自の「きれい除菌水」で便器ボウルやノズルを自動洗浄・除菌してくれるので、掃除の頻度も減るといわれています。
TOTO GG | TOTO ネオレストAH | |
本体価格(税別) | 230,000円〜(GG1) | 334,000円〜(AH1) |
便器防汚技術 | セフィオンテクト | セフィオンテクト |
温水方式 | 貯湯式 | 瞬間式 |
洗浄水量 | △(大4.8L/小3.6L) | ○(大3.8L/小3.3L) ※床排水の場合 |
便器洗浄機能 | △(水道水) | ○(きれい除菌水) |
ノズル洗浄機能 | △(水道水) | ○(きれい除菌水) |
お掃除リフト | △(手動) | △(手動) |
オート便器洗浄 | ○ | ○ |
温風乾燥 | △(グレード2以上) | ○ |
便座・便ふた 自動開閉 |
△(グレード3のみ) | ○ |
まとめ
TOTOトイレの中でも地味な存在のGG、GG-800ですが、手洗いの使い勝手を重視する場合はGG-800でもよいかもしれません。高さ800mmの低めの手洗いが付いているのが特徴的ですね。
一方で、GGにタンクレストイレのようなイメージを持たれている場合は、GGよりも安価で機能も充実しているパナソニック アラウーノVや、少し高くなりますがネオレストDHあたりも検討してみるとよいかもしれません。
あまりオススメするポイントが見当たらないのですが、強烈な個性がないということは、総合的にバランスがとれた商品ともいえます。